google.com, pub-8557824064745223, DIRECT, f08c47fec0942fa0 嚥下と姿勢 | STちゅうげんのブログ

嚥下と姿勢の関係について考える

摂食嚥下障害について考えるうえで、姿勢は重要な問題となります。

しかし、養成校などで姿勢について学ぶ機会は少ない印象です。

そして、現場では理学療法士や作業療法士に任せるといったことが多いと思われます。

今回、嚥下と姿勢の関係について考えることで、

言語聴覚士もチームとして議論ができるようになればと思い、

このテーマを扱おうと思います。

今回の参考・引用文献

姿勢から介入する摂食嚥下 脳卒中患者のリハビリテーション

監修:森若文雄 編集:内田学

メジカルビュー社 2017発行

嚥下と姿勢の関係

嚥下動作は呼吸と姿勢に密接に関係しています。

姿勢が不良であれば、嚥下筋や呼吸補助筋はどうなるでしょうか?

姿勢が不良となると、姿勢安定に向けて筋肉が作用するようになります。

そうなると、姿勢と嚥下、呼吸に作用する筋肉は連動しているため、

嚥下運動や呼吸運動に作用するべき筋肉が、

姿勢を安定させるために作用するようになります。

それにより、嚥下運動や呼吸運動は低下します。

嚥下動作と姿勢による嚥下筋活動の変化

嚥下に関する筋群は、咀嚼運動や嚥下運動に関与しています。

そして、その一部は姿勢制御にも関与しています。

特に舌骨は重要な役割を担っています。

舌骨は、様々な方向から付着している筋のバランスによって位置が決まります。

そのため、頚部筋の緊張や姿勢の影響を受けやすくなっています。

正常な嚥下動作を行う際には、嚥下動作に関与する筋と姿勢が重要となります。

嚥下動作に関与する筋は、姿勢保持に重点的に使われるのではなく、

嚥下動作に採用する必要があります。

姿勢は、重力や筋緊張にも影響を与えます。

スムーズな嚥下動作を行う上で、

嚥下動作に関する筋に必要なものは、適切な筋緊張と張力です。

適切な筋緊張は、姿勢反射によりコントロールされます。

脳血管障害の姿勢と嚥下

脳血管障害の姿勢制御機構の問題における原因は、以下に挙げます。

  • 運動麻痺
  • 筋緊張異常
  • 感覚低下
  • 意識障害
  • 高次脳機能障害 など

嚥下運動の阻害因子の局所的影響と全身的影響は、以下に挙げます。

局所的影響

  • 運動麻痺
  • 筋緊張異常
  • 感覚低下
  • 上・下肢機能低下:姿勢調整能力の低下、姿勢保持能力の低下
  • 呼吸機能低下
  • 意識障害
  • 高次脳機能障害

全身的影響

  • 視覚認知の歪み
  • 顔面・咀嚼運動の困難
  • 舌運動機能低下
  • 舌骨筋群の緊張・バランス低下
  • 嚥下反射の惹起困難
  • 食物運搬能力の低下

姿勢管理が嚥下動態および誤嚥に与える影響

姿勢管理法とは、

残存機能と重力や筋緊張の影響を考慮し、嚥下動作を姿勢で調整する方法のことです。

具体的には、リクライニング座位、頭頸部回旋、頸部屈曲位、側臥位などです。

リクライニング座位

重力変化により、食塊の移送スピードを調節することを目的としています。

咽頭後壁に沿って重力が働くことで誤嚥しにくく、

嚥下反射の惹起遅延に対して有効とされています。

しかし、粘性の高い食塊と低い食塊とでは流入速度が異なるため、

すべての条件で良いとは一概に言えません。

頭頸部回旋

回旋側への梨状陥凹を潰すことで食塊の移送を減少させ、

患側で起こる嚥下障害を健側で代償することを目的としています。

咽頭の形態や食道入口部の圧などが変化するため、

器質的障害や麻痺などによる嚥下器官障害や球麻痺に対して有効とされています。

頸部屈曲位

舌根が咽頭後壁に近づくことで中下咽頭を狭くさせ、

咽頭部の弱い蠕動運動への助力を目的としています。

誤嚥を認めた脳卒中急性期や外傷性脳損傷に対して有効性があるとされています。

著しい頸部屈曲位は、前頸部の筋群の緊張が喉頭挙上を妨げるといった短所があります。

姿勢管理法の組み合わ効果

嚥下障害の原因や病態を把握し、食塊の粘稠度に応じて、

最も適した姿勢を組み合わせることが相乗効果となり重要となってきます。

まとめ

摂食嚥下障害は、広く言われている5期モデルやプロセスモデルだけで考えるのではなく、

嚥下に関する筋などの作用についても考える必要があります。

そしてそれは、姿勢がとても重要なファクターとなっています。

姿勢管理法として一部挙げさせて頂きましたが、

さまざまな姿勢管理法や代償的な嚥下法があるなかでも、

座位姿勢や臥位の姿勢が崩れていたら、それらの効果も十分には発揮されないでしょう。

嚥下分野は、言語聴覚士がメインとして動くことが多いと思います。

理学療法士や作業療法士、看護師などとともに適切な嚥下姿勢を考えることが大切です。

今回紹介させていただいた書籍は、他にも参考となるものがありますので、

是非、一読して見てください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました